新築一戸建てを計画中に、和室を作るべきか迷っている人もいることでしょう。そこで、新築戸建てに和室を作ることのメリット・デメリットと、「作ってよかった」と思えるおしゃれで機能的な和室作りのポイントを紹介します。
1.新築に和室を作るメリットは?
自由に設計できる注文住宅では、ただ「なんとなく」和室を作る必要はありません。しかし、日本の住宅で昔から親しまれてきた和室には、和室ならではの良さがあるのも事実です。まずは和室のメリットから確認していきましょう。
1-1.湿度調整や癒し効果に
日本の家に昔から和室があったのことには理由があります。その一つが、い草が持つ調湿効果。畳は湿気が多いときには吸収し、乾燥しているときには水分を放出してくれるので、高温多湿の日本の住まいにはぴったりなのです。
また、い草が呼吸しながらホコリやダイオキシン、ホルムアルデヒドなどを吸収し、部屋の空気をきれいにする空気清浄効果もあります。
さらにい草の香りは脳をリラックスさせる効果があると言われ、家族のリラックススペースには最適です。
1-2.家事スペースとして
保温・断熱効果も持つ畳は、冬でも温かく、夏はひんやりと心地いいのが魅力。弾力性もあるので、ちょっと座って洗濯物を畳んだり、アイロンをかけたりするにもちょうどいいですね。
もちろん、畳でのびのびごろ寝をしたいというときにも便利です。ソファでは一人分のスペースしかなくても、畳なら家族でゆっくりごろ寝ができますね。
1-3.子供が転んでも安心
ファミリーなら、お子さんの遊び場としても重宝します。畳なら足元が滑りにくく、転んでもフローリングほど痛くないので安心。お子さんが小さい間は、おむつ交換スペースやお昼寝場所としても役立ちます。
座ったり、ゴロゴロしたり、いろんな動きをするお子さんには和室がぴったり。そのつもりで作ったわけではなくても、畳が心地よくていつの間にかお子さんの遊び場になっていた、ということもあるようです。
畳には衝撃音を吸収する効果もあるので、遊んでいるお子さんの足音が気になるという場合にもおすすめ。和室は家族全員がリラックスして心地よく過ごすのに役立ちます。
1-4.来客時の客間や寝室に
和室は来客時の客間としても利用できます。家族のリビングとは別に、お客様をお通しする客間として和室を用意しておくと、いざというときにも安心です。また、お客様が宿泊する場合にも、洋室だとフローリングに直接布団を敷くと冷えますが、和室なら畳の弾力性や保温性があるため、そのまま布団を敷くだけで快適な寝室が作れます。
1-5.将来の同居にも対応
親世代では和室のほうが落ち着くという人も多いでしょう。和室ならソファを置かなくても居場所を作りやすいというメリットもあります。布団を収納すれば、一室でも快適に過ごせます。
1-6.仏間として
近年では仏壇のあるご家庭も減ってきましたが、もし仏壇があるという場合はやはり和室があると重宝します。お子さんがいるご家庭では、お子さんに仏間という日本の風習を伝えることもできますね。
家族のメンバーがお花やお茶など、和の伝統芸能に携わっている場合も和室が大活躍します。今は時間がなくても、将来は趣味で茶道や華道を始めたいと思っているなら、和室は作っておいたほうがいいかもしれません。
2.和室を作るデメリット
一方、和室を作るデメリットもあります。作って後悔しないためにも、目を通しておきましょう。
2-1.ふすまや塗り壁のメンテナンス費用が必要
和室は定期的な畳の張り替えが必要な他、障子やふすま、塗り壁などにもメンテナンスの手間と費用がかかりやすくなります。畳一枚を張り替えるだけでも約8,000~20,000円かかるため、あまり使わない和室があった場合、「使っていないのにメンテナンス費用がかかるなんて」と思うかもしれません。
2-2.重たい家具が置きにくい
和室にテーブルやベッドなどの重たい家具を置くと跡がついてしまいます。そのため、たとえば子供が小さいうちの遊び場所として使っていた和室を、中高生の子供部屋にしようとすると使いにくいといった問題が出てきます。
2-3.間取りが制限される
和室を作ろうとすると、フローリングのリビングが狭くなってしまうなど間取りに制限が生じる場合もあります。本当に和室がほしいのかどうか、家族で話し合って納得してから計画することをおすすめします。
3.和室作りで失敗しないためのポイント
次に、後悔しない和室作りをするための工夫やポイントを紹介します。
3-1.モダンなリビングに合うおしゃれなデザイン
室というとあか抜けないイメージがある人もいるかもしれません。しかし、ふすまにアクセントカラーを取り入れたり、壁は砂壁ではなく白くするなど、デザインによってモダンなリビングにも合うおしゃれな空間になります。和室が薄暗くならないための明かり取りの窓もしっかり計画しましょう。用途に合わせて、掘りごたつ風に床に段差を設けるのもいいでしょう。
最近は縁のない、正方形の半畳たたみも見栄えの良さで人気です。半畳たたみを総称して琉球畳と呼ぶ場合もありますが、本来は琉球畳とは、沖縄で生産されていた「七島(しっとう)イ」というい草を使ったものを指します。最近はグレーの畳など、緑色以外の色のバリエーションが増えてきています。
3-2.小上がりにして空間に変化をつける
小上がりの畳スペースを設けるのも、空間に変化をつけるアイデアとして人気です。段差を利用して腰掛けたり、リビングに隣接するソファ感覚で利用したり、小上がりの下を大容量の収納にしたりといった、従来の和室にはない使い方ができるのも魅力。小上がりに布団を敷くことでベッドのように利用できるというメリットもあります。それほど広さは確保できないけれど、少しでも畳のスペースを確保したいという場合にもおすすめです。
ただし、段差がついてしまうので、バリアフリーの観点からはデメリットになることもあるため注意しましょう。段差をつけることで空間が狭く見えてしまったり、お掃除ロボットが使えなくなったりといったマイナスの側面もあります。
3-3.広さは4.5畳から6畳を確保
子供の遊び場や家事スペースとして使うなら、4.5から5畳あれば十分に役割を果たしてくれるでしょう。客間や将来の同居に備えるなら、6畳はないと結局使えなかった、ということにもなりかねないので気をつけましょう。
3-4.スクリーンや引き戸などの仕切りをつける
家族のリラックススペースとしてだけ使うつもりでも、後々、来客時の寝室として使いたくなる日があるかもしれません。そんなとき、リビングと空間を分ける仕切りがあると、きちんと一部屋のように使えて便利です。
目隠し程度であればスクリーンでも十分ですが、部屋として使うのであればできれば引き戸を検討しましょう。
3-5.押し入れなど収納はたっぷり
将来、同居や部屋として使う可能性があるなら特に、収納はしっかり確保しておきましょう。布団や身の回りのものがしまえる押入れがあると重宝します。
また、洋室のクローゼットとは別に、布団をはじめ、たとえば雛飾りの箱など、天袋や上段のある押入れにしまっておきたいものもあるでしょう。押し入れはあっても無駄になることはないので、ぜひ用意しておくことをおすすめします。
3-6.メンテナンスがラクな高機能畳もおすすめ
「和室は欲しいけれど、メンテナンスが面倒くさそう」という人には、紙製やポリプロピレン製の高機能畳もおすすめです。ダニやカビが発生しにくい、撥水性があるなど機能はさまざまですが、従来の畳の風合いは残しながら、メンテナンスの手間がかかりにくいのが魅力。
ハウスメーカーで取り扱いがある場合もあるので気になる場合は相談してみましょう。
4.用途に合わせて後悔のない和室作りを
日本の環境に適した和室には、メリットもたくさんあります。ライフステージの変化によって和室が役立つこともあるでしょう。広い和室ではなくても、ちょっとした畳コーナーや小上がりの畳だけでも、作ってみたら日頃の家事や育児、また来客時などにとても重宝したという例も多いのです。
ただし、間取りや部屋としての使い道が制限される場合もあるため、家族が必要ないと判断すれば無理に作る必要もありません。
まずは和室が必要かどうかを検討し、家族にとって理想の和室のあり方を考えてみてください。三菱地所ホームなら、ご家庭に合った後悔しない和室作りをサポートします。
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