一軒家の中心にある中庭は、家族のための完全なるプライベート空間。室内にいてもいつも緑を感じられる生活に憧れる人も多いのではないでしょうか。しかし、「そもそも中庭はどこに作るものなのか」「中庭でどんなことができるのか」など疑問に思うこともあるかもしれません。
そこで、中庭を取り入れるメリットとデメリットについて解説します。おしゃれな建築実例もご紹介するので、家づくりの参考にしてみてください。
1.中庭とは?間取りの種類は大きく分けて3つ
中庭とは壁や建物で囲まれた屋外空間のことを指します。よくイメージされるのは、全方位を壁やガラスで囲み、家の中心に中庭がある間取りでしょう。実はそれ以外にも中庭を取り入れた間取りがあります。ここでは中庭の代表的なデザインを3つご紹介します。
1-1.コの字型
家をコの字型にして中心に中庭スペースを作ったものです。1箇所に壁を作らず3箇所を壁で囲んでいる形になります。このデザインの特徴は、周囲からの視線を遮りつつも全方位を囲んでいるわけではないので開放感があることです。限られた敷地に中庭を作るとどうしても庭がコンパクトになりがちです。全方位を囲うことなくコの字型にすると、1箇所の壁がない分、庭を広くとることができます。
1-2.ロの字型
ロの字型は全方位を壁で囲んだ中庭です。4方向に壁があるので、外からの視線を遮断してくれるのが大きな魅力です。洗濯物も周囲の視線を気にすることなく干すことができます。ただし、ロの字型の中庭を作るには建物が庭を囲めるほどの広大な敷地が必要です。そして、4方向全てに壁があるため雨水がたまりやすく、排水計画に注意する必要があります。
1-3.L字型
家をL字型にして2方向が壁に囲まれている中庭です。3つのなかでは最も開放的な中庭になります。庭に面している壁が2箇所なので、庭が広く取れて敷地が狭くても実現しやすいというのが特徴です。やはり、コの字型やロの字型の中庭に比べると外からの視線が気になるため、プライベート空間を実現するには視線を考慮した設計が重要になります。
2.新築するときに中庭を作るメリット
中庭はおしゃれなだけではなく、家族にとって非常に大きなメリットがあります。1つは外からの視線を遮ること。中庭は屋外のプライベートスペースになります。家の中からしか見えないので、ラフな格好で過ごすこともできます。
もう1つは採光が取りやすいことです。北側に位置する部屋は南からの光が取れず暗くなりやすいため、寝室やクローゼットなど光を必要としない部屋を配置するのが一般的です。しかし、中庭を作れば建物の中心に光を取り込むことができるので、北側の部屋にも南向きに窓を設置できます。部屋の向きに左右されることなく明るさを保つことが可能です。
また、ロの字型の中庭なら全方位が壁に囲まれているため防犯性に優れています。そのため、窓を開放していても安心して過ごすことができます。
3.中庭があることで起こるデメリット
「憧れの中庭を作ったけれど後悔…」ということがないようにデメリットについても押さえておきましょう。中庭を作るときに考えないといけないのが居住スペースとの兼ね合いです。中庭を作るとどうしても居住スペースを圧迫してしまい、部屋が狭くなってしまう可能性があります。敷地が広ければ問題ありませんが、敷地が狭い場合は必要な部屋の広さを確保できるよう柔軟な設計が求められます。
また、中庭に面した部屋は窓が多くなりがちで、冬は寒く、夏は暑くなる傾向があります。そのため、空調にも配慮が必要です。全館空調を取り入れれば部屋中の温度や湿度を一定に保てるので、窓が多い中庭があっても快適に過ごせます。
そして、コストの問題もデメリットに挙げられます。中庭を作ると壁で囲まれているため外壁が多くなり、構造体や外装材など使う材料も増え、施工面積が多くなることで施工費が高くなります。そのため、建築費はL字型、コの字型、ロの字型の順で高額になるのが一般的です。
4.バーベキューやランチもできる?中庭の使い道
中庭があると家族の暮らしがどのように変化するのか、中庭の使い道についてご紹介します。
外からの視線を遮るというメリットを活かし、外ではあまりできない遊びも中庭なら実現可能です。例えば、部屋着やラフな格好での屋外ランチです。朝日を浴びながら朝食をとったり、夜は星を眺めながらティータイム…というのも素敵ですよね。人目を気にすることなく過ごせるのでお子さんのプール遊びも安心です。全方位が壁に囲まれているため、道路への飛び出しの心配もなく安全な遊び場になります。ペットをノーリードで遊ばせることもできます。
また、ご近所の目が気になるバーベキューも、全方位が壁に囲まれている中庭なら煙が上空に上がるため、煙やニオイの広がりを抑えられます。そして、オープンな庭よりも音漏れしにくいという点も安心できるポイントです。
5.中庭を取り入れた建築実例
実際に一軒家に中庭を取り入れた建築実例をご紹介します。中庭を作るときには隣接する部屋とのつながりや景観、快適性など、あらゆる角度から考えた柔軟な設計が必要です。ここで紹介するのは自由設計による中庭と調和した住まいです。ぜひ間取りを考えるときの参考にしてみてください。
5-1.リビングとのつながりを意識
こちらは武蔵野ホームギャラリーの中庭です。階段横に設けた自宅サロンやリビングへ柔らかな光が差し込みます。この中庭の特徴はリビングと中庭の地面の高さを合わせたこと。床をステップダウンすることでリビングと中庭に一体感を持たせました。大きな窓を開放すれば大人数でもゆったりとホームパーティを楽しむことができます。
建物自体はL字型となっていて玄関から直接中庭へアクセスできるのもポイント。室内外を何度も行き来することなく、リビングと中庭だけでゲストをおもてなしができるので快適です。段差がないのでお子さんたちにも安心です。ほっと一息つきたいときは、階段横のサロンで中庭の様子を見守りながらご友人とおしゃべりに花を咲かせてみてはいかがでしょうか。
5-2.プライベート空間が叶うアウトドアリビング
こちらは駒沢ステージ2ホームギャラリー。中庭に屋外用のソファとテーブルを置いてアウトドアリビングにしました。この中庭の特徴は、都会の喧騒とかけ離れ自然を感じられるプライベート空間です。都市部ではビルや人通りが多く、歩道や道路に面していると外からの視線も気になります。そのため、広い土地にロの字型の中庭を作るのが理想ですが、都市部は地価が高い傾向にあり誰もが大きな土地を購入できるわけではありません。
そこで、工夫したのが1枚の外壁です。建物自体はコの字型ですが、空いている部分に壁を設置し、外からの視線を遮断しました。ロの字型のように完全に壁で蓋をする形ではなく、玄関ポーチや庭へも出入りできるように配置しているため、開放感もあります。「ロの字型の中庭にしたいけれど敷地が大きくない」という場合はこちらの方法で中庭を取り入れるのも1つです。
5-3.広大な敷地を活かし中庭を中心に設計した邸宅
こちらは大胆にも中庭を設計のメインとし、その周りに部屋を配置したデザイン。実際に建てられたオーナーズハウスです。まるでアートのように水と自然が広がる荘厳な佇まいは圧巻です。写真のように屋外用のテーブルやソファを置いてもスペースにゆとりがあり、大勢の来客があっても問題ありません。
また、こちらの中庭はパーキングとしても使用できる設計になっています。ゲートを開けると車を直接乗り入れて駐車できるので、遠方からのお客様をお迎えするときも安心です。中庭を取り囲む部屋にはそれぞれ大きな窓があり、美しい中庭を眺めながら日々の疲れを癒すことができるでしょう。
6.中庭のある一軒家で暮らしを豊かに
中庭があれば外からの視線を気にすることなく、屋外での時間を楽しめます。三菱地所ホームでは自由設計や全館空調システムを取り入れているので、中庭がある住宅でも快適な暮らしが実現します。ほかにもおしゃれな中庭を取り入れた建築実例やホームギャラリーが多数あります。来場予約も受け付けているので、ぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか。