初めての注文住宅の場合、トータルでどのくらい時間がかかるのか、どんな流れで計画を進めればいいのか、わからない人がほとんどでしょう。お子さんが小学生になるまでに完成させたいなど時期的な希望がある場合は特に、全体の流れとスケジュールを前もって知っておきたいですよね。
そこで、新築の注文住宅を建てるときの流れとスケジュール感をステップごとにまとめてみました。
1.STEP①事前準備【平均1~6カ月】
最初に、どんな家がいいか、場所はどこがいいかなどを検討する準備段階からスタートします。この期間は「気に入ったものが見つかるまで」なので人によりますが、平均して1~6カ月程度です。
1-1.家のイメージを検討
まずはどんな家を作りたいのか、家族と一緒にイメージしてみましょう。なぜマンションではなく一戸建てがいいのか、その中でも注文住宅がいいのかといった根本的なところまで家族でしっかり話し合っておくと、その後がスムーズに進みやすくなります。
住宅雑誌やインターネットを通して多くの住宅を見て、建てたい家の雰囲気や間取りもある程度考えておくといいでしょう。モデルハウスやホームギャラリーに行ってみると、雰囲気や空気感など、実際に住んだときのイメージがつきやすくなります。
1-2.予算の検討
予算の検討も重要です。頭金がいくら用意できて、ローンにはどんな種類があるのかなど、具体的な予算感をつかんでいきましょう。
ファイナンシャルプランナーに依頼し、ライフプランに合わせて、これからかかる費用と、住宅に充てられる費用の全体像をおおまかに把握しておくこともおすすめします。
1-3.ハウスメーカーや工務店の検討
家のイメージと予算の検討と並行して、依頼するハウスメーカーや工務店を探します。いくつかモデルハウスやホームギャラリーを回ることで、「こんな雰囲気の家に住みたい」「この機能を持つ家がほしい」といった想いが固まってくるでしょう。
モデルハウスやホームギャラリーにはメーカーのスタッフも常駐しているので、その場で機能面の特徴やこだわりを聞きながら検討できます。
1-4.土地探し
家自体のイメージと同様に重要なのが、「どこに建てるか」という点です。通勤や学校にかかる時間、スーパーや病院などの周辺環境や日当たりの良さ、災害危険区域に入っていないかなど、土地を決める上で検討するべきことはたくさんあります。土地探しにはタイミングもあるので、希望の土地を見つけるまでに6カ月以上、ときには数年をかける人もいます。
不動産会社の広告に目を通すほか、検討中のハウスメーカーに希望のエリアを伝えれば、土地探しをサポートしてくれます。広告に出る前の最新の土地情報も紹介してくれるので、理想の土地が見つかりやすくなるはずです。
2.STEP②土地の契約【平均1週間~1カ月半】
検討段階の次のステップが土地の契約です。ここから家づくりがグッと具体的になっていきます。
2-1.土地の購入
気に入った土地が見つかったら、いよいよ土地を購入します。土地の形状や建築条件によって建てられる家が制限される場合があるので、土地を購入する前に、検討中のハウスメーカーに参考プラン・概算見積を提案してもらい、希望がかなう土地か確認してから土地契約へと進む流れが一般的。土地と建物を合わせた費用が全体予算を大幅にオーバーしないことも確認してから購入しましょう。
土地の購入資金にも住宅ローンを利用する場合は、金融機関に確認を。住宅ローンは基本的に建物が建った引渡しの時に実行されますが、土地購入時を含めて2回にわけて実行できるのか、土地分の支払いはいつから開始されるのかなど、金融機関によって条件が異なります。
3.STEP③住宅プランの決定【平均1~3カ月】
土地購入などに必要な各種申請はハウスメーカーが代行してくれることがほとんどなので、同時進行で住宅プランを詰めていきます。このときの流れは以下のようになります。
3-1.間取りの決定
まずは土地に対しての建物の大きさや向き、そして間取りを決定します。日当たりのいい場所をリビングにしたい、できるだけ家事動線をスムーズにしたいなど、希望はすべてハウスメーカーや工務店に伝え、最適なプランを出してもらいましょう。
最初はイメージがつきにくくても、大枠のプランがあれば、「ここにもう一つ収納がほしい」など、具体的な希望が出てくることでしょう。それをハウスメーカーなどに伝え、納得がいくまで調整します。
図面を見て、「本当はもっとこうしたいけど、無理だよね」と思うことがあれば、遠慮せずに担当者に相談しましょう。プロの目から見れば、調節可能なこともよくあります。
3-2.建築請負契約の締結
建物全体のプランが決定したら、ハウスメーカーや工務店と建築請負契約を結びます。契約書とともに見積書と設計図も用意されるので、内容に大きな食い違いがないか確認の上、締結しましょう。建築請負契約を締結すると、解除するには違約金が発生してしまう場合もあるので注意が必要です。
契約書と約款をよく確認し、気になる点があれば問い合わせをするなどしておくと、後々のトラブルを防ぐことができます。
3-3.設備・仕様の決定
三菱地所ホームでは、建築請負契約後に建物の詳細打ち合わせ(窓の位置・トイレやキッチンなどの設備の細かい仕様、スイッチ・コンセント・照明器具の決定)を行います。建物全体のカラースキーム(色彩計画)、エクステリアを決定するのもこの段階で、設備・仕様の決定に、物件の規模にもよりますが2~3カ月は必要です。間取りの決定や建築請負契約の締結と同時に、パンフレットや展示場、メーカーのショールームで確認しながら設備・仕様を決めていきましょう。
決定後には必ず見積を提示してもらい、総額の予算とずれがないか確認します。
3-4.住宅ローンの申し込み
すべての住宅プランが決定したら、住宅ローンの申し込みを行います。申し込みはハウスメーカーの担当者が代行してくれることもありますが、その場合でも書類の記入は必要です。
住宅ローンには事前審査と本審査があり、本審査には1~2週間程度の時間がかかります。事前審査は1週間程度で結果が出るので、計画段階で事前審査を受けておくことをおすすめします。事前審査を受けることで、どのくらい借り入れできるかの目安がわかります。事前審査は、購入の申し込みをしていない、検討中の土地で審査してもらうことも可能です。
4.STEP③工事【平均4~6カ月】
計画と各種申請が終わり、ついに工事のスタートです。新築一戸建てでは、建物の規模・建築条件にもよりますが、4~6カ月の施工期間がかかります。
4-1.地盤調査
安全安心な家を建てるには、しっかりとした地盤が重要です。そこで、工事の前にハウスメーカーを通して専門会社に依頼し、地盤調査を行います。もし地盤が弱いなどの結果が出れば、地盤改良工事を実施します。
4-2.地鎮祭の実施
実際の計画地で神主に工事の無事を祈ってもらう昔ながらの風習が地鎮祭です。施主はもちろんハウスメーカー、施工を担当する工務店の担当者など関係者が集まって行います。地鎮祭と同時に「着工」となることが通常の流れですが、スケジュールの都合などで地鎮祭を行わないこともあります。
4-3.基礎工事
工事は建物の土台となる基礎づくりから始めます。地面をならしてコンクリートを敷き、建物を支える鉄筋を組み立てたら、設計監理者や第三者機関による配筋検査が行われます。そして、配筋の周りに枠型をつくってコンクリートを流し込み、しっかりと乾燥させてから枠組みを外し、給排水の配管工事へと進みます。
このように、じっくりと正確につくっていく基礎工事は養生期間も入れて2週間程度かかるため、意外と長く感じるかもしれません。
4-4.木工事、屋根工事、外壁工事等
その後、木を使って家を組み立てていく建方工事や屋根、外壁工事に進みます。スピーディにマイホームが出来上がっていくので、見学に行くと楽しいのがこの期間です。
構造体ができた段階(棟上げ)で、上棟式を行うことも。上棟時には現地でハウスメーカーと一緒に決めた内容が反映されているか、窓の高さや位置などを実際に確認します。スイッチ、コンセントの位置も、念のため最終確認しておきましょう。
4-5.竣工、竣工検査
引き渡しの1カ月前くらいに竣工となり、ハウスメーカーの担当者や施主による竣工検査が行われます。水回りの設備やドアの建具などに不具合がないか、目立つ傷や汚れがないかなどしっかりチェックしましょう。もし気になることがあれば申請し、直してもらいます。
4-6.引き渡し
工事代金を全額支払い、ハウスメーカーから鍵を受け取って建物の引き渡しとなります。引き渡しと同時に住宅ローンも実行されます。引き渡し後に気になったことがあった場合の連絡先や、引き渡し後の点検スケジュールなども確認しておきましょう。
5.完成までの流れを逆算して計画しよう
土地やハウスメーカーがどのくらいで決定できるかにもよりますが、注文住宅にかかる期間はトータルでおよそ8~15カ月程度。いつ頃までに引っ越しがしたいという希望がある場合は、逆算しておおまかなスケジュール感を理解した上で進めましょう。
だいたいの流れがわかっていれば、イメージづくりや土地探しなどで妥協せずに時間をかけることもできます。上記の流れはすでに土地が決まっている場合や相続などの条件によっても変わるので、気になる場合は計画の初期段階で検討中のハウスメーカーにスケジュールを確認しておきましょう。