注文住宅を購入する場合、建売住宅などと違って「諸費用」がかかってきます。諸費用は項目が多いうえ、ハウスメーカーによって金額も変動しやすいため、どんな費用をいくら用意すべきなのか心配な方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、家づくりを始める前に知っておきたい諸費用の内訳、各項目における算出方法や金額の目安など紹介します。費用はあくまで一般的な目安として参考にしてください。
1.注文住宅の新築時には土地・建物費以外にも諸費用が必要
初めて注文住宅を建てる場合、土地の購入費用と建物の建築費用だけ見て計算している方が多いでしょう。しかし、実際は上記以外にも「諸費用」を支払う必要があります。
この諸費用は意外と大きな金額になるケースも多いので、実際に見積もりを見て「こんなにかかるの!?」と目を疑うことがあるかもしれません。建売住宅やマンションの購入とは違うため、存在自体を知らない方も多いのではないでしょうか。
注文住宅を無理なく建てるためには、事前に諸費用の知識を身に付けることが大切です。
2.諸費用は基本的に現金で払うため余裕を持って用意する
諸費用は項目や金額を問わず、原則として住宅ローンに組み込むことが難しいので、基本的に現金払いを想定する必要があります。手持ちの現金が足りないということにならないよう、余裕を持って用意しておきたいところです。
一方、近年では諸費用による金銭的負担をカバーするため、諸費用込みの住宅ローンを提供する金融機関も登場しています。借り入れできる金額や項目はそれぞれ異なるため、必要であれば早めにチェックしておきましょう。
3.諸費用に含まれるものは?
具体的に諸費用に何が含まれるのかを見る前に、注文住宅を建てるときにかかる全体の費用を整理しましょう。大きく分けると以下の4つです。
- 本体工事費用
- 付帯工事費用
- その他工事費用
- 諸費用
本体工事費用はその名の通り、建物本体を建てるときに必要な費用のことです。注文住宅における総費用の大半を占めており、本体工事費用がそのまま住宅価格として掲載されているケースもよく見受けられます。
付帯工事費用は電気ガス工事や屋外給排水工事など、建物以外の工事でかかってくる費用のことです。こちらも本体工事費用と同じく、注文住宅を建てるときに必要となります。
その他工事費用は外構工事や解体工事、インテリア工事(カーテン・照明など)にかかる費用です。必ず発生する費用ではなく、ケースバイケースであることを覚えておきましょう。
そして、諸費用は建築工事以外にかかってくる、上記3つを除くすべての費用のことです。大まかな例としては事務手数料や保険料、税金などが挙げられます。
4.注文住宅の諸費用一覧と金額の目安
それではここから、注文住宅の諸費用を具体的に見ていきましょう。どの段階で、どのような諸費用がかかってくるのか、項目ごとに算出方法や金額の目安をまとめます。一般的な目安として参考にしてください。
4-1.土地を購入する際にかかる諸費用
土地を購入する場合、以下のような諸費用がかかってきます。
仲介手数料 | (物件価格×3%)+6万円+消費税10% ※売買価格400万円超の場合 |
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登記費用(所有権移転登記) | 土地評価額×1.5% ※2023年3月31日までの軽減措置適用の場合 ※司法書士に依頼する場合は報酬として+3~5万円 |
不動産取得税 | 土地評価額×1/2×3% ※2024年3月31日までの軽減措置適用の場合 |
印紙税 | 土地の売買価格による 1,000万円超~5,000万円以下→1万円 5,000万円超~1億円以下→3万円 ※2022年3月31日までの軽減措置適用の場合 |
「仲介手数料」とは、土地売買を仲介してくれるハウスメーカーなどに支払う報酬のことです。土地の売買価格によって仲介手数料も変動しますが、法律で上限金額が定められています。上限が適用される(売買価格400万円超)場合、計算式は「(物件価格×3%)+6万円+消費税10%」です。
「登記費用」は所有権移転登記における登録免許税であり、2023年3月31日まで軽減措置が適用されます。計算式は「土地評価額×1.5%」ですが、司法書士などに依頼する場合、報酬としてプラス3万円~5万円程かかるので注意しましょう。
「不動産取得税」とは、土地を取得したときに納める税金です。2024年3月31日まで軽減措置が適用されており、計算式は「土地評価額×1/2×3%」となります。
「印紙税」とは、土地の売買契約書に貼り付ける印紙の購入費用です。こちらは2022年3月31日まで軽減措置が適用されており、土地の売買価格が1,000万円超~5,000万円以下なら印紙税は1万円、5,000万円超~1億円以下なら3万円となります。
4-2.建物建築時にかかる諸費用
建物を建てる際には、建築費用に加えて以下のような諸費用がかかってきます。
登記費用(所有権保存登記) | 建物評価額×0.15% ※2022年3月31日までの軽減措置適用の場合 ※登記を司法書士などに依頼する場合、報酬として+数万円程度 |
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不動産取得税 | (建物評価額―控除額)×3% ※2024年3月31日までの軽減措置適用の場合 |
印紙税 | 建物の売買価格による 1,000万円超~5,000万円以下→1万円 5,000万円超~1億円以下→3万円 ※2022年3月31日までの軽減措置適用の場合 |
敷地調査・測量費用 | 10万円前後 |
建築確認申請費 | 10万円前後 |
地盤調査費 | 調査の種類によって5~30万円程度 |
実施設計料 | 工事費用の3%~5%前後 |
水道加入金 | 数万円~数十万円 |
祭事費 | 5万円程度 |
「登記費用」「不動産取得税」「印紙税」は土地購入時と同じ項目ですが、前者2つは計算式が異なっています。印紙税は建設工事請負契約書に貼る印紙代となります。
新築住宅を取得する場合、一定の要件を満たせば不動産取得税の軽減措置が受けられます。建物評価額から一定額が控除されるので知っておくとよいでしょう。
「敷地調査・測量費用」「建築確認申請費」とは、建築確認に関する調査・手続きにかかる費用です。それぞれ、およそ10万円前後になります。
「地盤調査費」は地盤の強度を調べてもらうときの費用であり、調査の種類によっても異なりますが、一般的なスウェーデン式サウンディング試験だと5万円程度が相場です。地下室や地下車庫がある計画の場合はボーリング調査が必要となり、25〜30万円程度かかります。
「実施設計料」は実施設計にかかる費用です。一般的に工事費用の3%~5%前後を支払います。
「水道加入金」は水道を引くときに徴収される費用です。水道管の口径もしくは地域によって金額は変わりますが、数万円~数十万円ほどかかります。
「祭事費」は地鎮祭や上棟式にかかる費用です。5万円前後が目安となります。
4-3.住宅ローン契約時にかかる諸費用
住宅ローンの契約を結ぶ場合、以下のような諸費用がかかってきます。
保証料 | 融資額1000万円当たり20万円程度(返済期間35年の場合) |
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事務手数料 | 定額型:3万円~10万円程度 定率型:融資額の2%前後 |
つなぎ融資の事務手数料 | 10万円前後 |
抵当権設定費用 | 借入額の0.4%(軽減措置の適用で0.1%) ※司法書士に依頼する場合、報酬として+5~10万円程度 |
団体信用生命保険料 | 通常の団信であれば、保険料はローンの金利に含まれる。特約を付ける場合は、ローン金利に特約分の金利を上乗せして支払う |
火災保険料 | 15万円〜40万円程度 |
地震保険料 | 1,000万円あたり7,000円~5万円程度 |
「保証料」とは、住宅ローンの保証会社に支払う費用です。金融機関、借入金額、返済期間、返済方法などによって費用は異なりますが、返済期間35年の場合は融資額1000万円当たり20万円程度が目安となります。
「事務手数料」は住宅ローンの手続きを進めるとき、金融機関に支払う費用です。「定額型」と「定率型」という2種類に分かれており、前者は3万円~10万円程度、後者は融資額の2%前後が目安となります。
「つなぎ融資の事務手数料」とは、注文住宅が完成するまでにかかる費用(着工金・上棟金など)を融資してもらうときに必要な費用です。つなぎ融資を利用する場合の手数料は、10万円前後が目安となります。
「抵当権設定費用」とは、土地・建物を住宅ローンの担保にするときに支払う登録免許税です。金額は「借入額の0.4%(軽減措置の適用で0.1%)」ですが、司法書士などに依頼すると報酬として別途5万円~10万円ほどかかります。
「団体信用生命保険料」「火災保険料」「地震保険料」は、各保険に加入するときに必要な費用です。上記は目安であり、実際は保険会社やプラン、契約期間によって金額が変わります。
4-4.その他の費用
ここまで紹介した項目に加えて、以下のようなその他の諸費用もかかってきます。
引越し費用 | 1回あたり10万〜15万円程度 |
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仮住まい費用(建て替えの場合) | 80~120万円前後 |
家具・家電購入費用 | 100万円前後 |
「引越し費用」は荷物量や移動距離、時期によって変わりますが、1回あたり10万〜15万円程度が相場です。
「仮住まい費用」はエリアや期間によりますが、敷金・礼金・仲介手数料やハウスクリーニング費用なども必要なので、80~120万円前後かかると見込んでおきましょう。
「家具・家電購入費用」は購入量に比例しますが、一から新調する場合は100万円前後を見込んでおきましょう。
5.諸費用を節約するためには
注文住宅の諸費用を少しでも節約したい場合、以下のような対策に取り組みましょう。
- 税金の優遇制度を活用する
- 各種保険でお手頃なプランを選択する
また、現金での支払いを減らしたいなら、つなぎ融資を利用するのも一案です。ただし、金利が割高になるので、資金計画を踏まえて考える必要があります。
ハウスメーカーの営業担当者に相談すれば、最新情報に応じた諸費用の節約対策も検討してくれるでしょう。
6.注文住宅に必要な諸費用を知って計画的な家づくりを
注文住宅を建てる場合、資金計画は必要不可欠といっても過言ではありません。予算オーバーやスケジュール遅延が起こらないよう、注文住宅の諸費用をきちんと把握したうえで、余裕のある資金計画を立てることが大切です。
諸費用を含む資金計画や土地探し、デザインなど、気になる点があればぜひ三菱地所ホームまでお問い合わせください。建築主様のニーズと予算を踏まえつつ、最適なプランをご提案いたします。