注文住宅を建てるための土地購入にあたって、諸費用が一体いくらかかるのか、詳しく知りたい方も多いのではないでしょうか。
土地を購入する場合、諸費用は一般的に土地代金の5~10%程度だといわれています。ただし、条件によってはプラスの費用が発生するため、あらかじめ注意が必要です。
今回の記事では、土地購入にかかる諸費用の内訳や費用目安について解説します。
1.土地購入に必要な諸費用(諸経費)の内訳
土地を購入するためには、手続きをする方への報酬や国・自治体への税金を支払う必要があります。一体どのような費用が発生するのか、基本的な諸経費についてまとめました。
① 仲介手数料
仲介手数料とは、土地売買を仲介してくれる不動産会社に支払う費用のことです。売買契約が成立してから支払う成功報酬なので、仲介の申し込みや土地探しのタイミングでは発生しません。
そして、仲介手数料は宅建業法により、以下のような上限金額が定められています。
土地代金 | 上限金額 |
---|---|
200万円以下の部分 | 土地代金の5.5% |
200万円を超えて400万円以下の部分 |
土地代金の4.4% |
400万円を超える部分 | 土地代金の3.3% |
これらの合計額が仲介手数料ですが、不動産業界では「土地代金×3%+6万円」という速算表を用いて計算することが一般的です。また、仲介手数料には消費税がかかることも覚えておきましょう。
② 手付金
手付金とは、土地の売買契約を締結したタイミングで支払う代金のことです。一般的に土地代金の10%程度が相場ですが、一般消費者の買主に対して不動産会社(宅建業者)が売主となる場合、上限金額は販売価格の20%と宅建業法で定められています。
不動産売買は取引金額が大きいので、簡単にキャンセルされると売主が不利益を被りかねません。そのため、手付金を「土地購入の意思を示す証拠」として、売買契約時に現金で支払うことが原則です。
また、手付金は土地の購入代金に含まれるケースが大半ですが、買主の都合でキャンセルした場合、基本的に返金されることはありません。
③ 印紙税
印紙税とは、売買契約書などの効力を担保するために支払う税金です。規定の金額の収入印紙を購入して、それを契約書に貼付する形で納税します。
土地の購入代金によって印紙税額は変動するため、事前に確認しておきたいところです。印紙税額を表形式でまとめたので、こちらもご確認ください。
土地代金 | 印紙税額(本則税率) | 印紙税額(軽減税率) |
---|---|---|
10万円超 50万円以下 | 400円 | 200円 |
50万円超 100万円以下 | 1,000円 | 500円 |
100万円超 500万円以下 | 2,000円 | 1,000円 |
500万円超 1,000万円以下 | 1万円 | 5,000円 |
1,000万円超 5,000万円以下 | 2万円 | 1万円 |
5,000万円超 1億円以下 | 6万円 | 3万円 |
1億円超 5億円以下 | 10万円 | 6万円 |
5億円超 10億円以下 | 20万円 | 10万円 |
10億円超 50億円以下 | 40万円 | 32万円 |
50億円超 | 60万円 | 48万円 |
なお、軽減措置の適用期間は2022年4月1日から2024年3月31日までとなっています。
➃ 不動産取得税
不動産取得税とは、土地などの不動産を購入した際にかかる税金のことです。本則税率は固定資産税評価額の4%ですが、2024年3月31日まで軽減措置が適用されるので、固定資産税評価額の3%で済みます。
先に土地を買ってから軽減措置を受ける場合、各都道府県の税務署に申告したうえで、土地取得から3年以内に住宅を建てなければなりません。また、住宅を新築した場合、課税標準から1,200万円が控除されます。
なお、不動産取得税を納めるタイミングは、所有権移転登記が完了してから4~6ヶ月後です。納税通知書が送付されるので、そちらもチェックしましょう。
⑤ 登記費用
土地を購入した場合、所有者を変更するための登記が必要ですが、その手続きにも費用がかかってきます。登記費用は大きく分けると「登録免許税」「司法書士への報酬」の2種類です。
登録免許税とは、土地の所有者名義変更にかかる税金のことを指します。本則税率は固定資産税評価額の2%ですが、こちらも軽減措置が適用されるため、2024年3月31日までの登記なら固定資産税評価額の1.5%です。
また、登記手続きを司法書士に代行してもらう場合、事務所や地域によって変動しますが、報酬として3~10万円程度を支払う必要があります。
⑥ 固定資産税・都市計画税
固定資産税・都市計画税とは、毎年1月1日時点での土地の所有者に課される税金のことです。どちらも購入翌年から課税されるので、土地を購入した年度は日割精算で売主に支払います。
固定資産税は土地を所有するすべての方が対象であり、税率は固定資産税評価額の1.4%です。国税ではなく地方税なので、自治体によって税率が異なるケースもあります。
一方、都市計画税は市街化区域内にある土地を所有する方が対象であり、税率は固定資産税評価額の0.3%です。こちらも地方税なので税率が異なる可能性はありますが、上限が0.3%と定められているため、上がることはありません。
2.条件によっては必要になる可能性がある諸費用
土地購入を取り巻く条件によっては、上記の諸経費にプラスしてかかってくる必要もあるので、事前に押さえておきましょう。
① 住宅ローン手数料や保証料など
住宅を建てるための土地を購入する場合、住宅ローンを組むことは可能ですが、さまざまな費用がかかってきます。代表的なものは住宅ローン手数料であり、一般的に20万~30万円程度は必要です。
また、金銭消費貸借契約書に貼るための印紙代もかかります。仮に土地代金が1,000万円超5,000万円以下の場合、印紙代は2万円です。
さらに、住宅ローンの返済が滞るまたは返済不能になった場合に備えて、保証料(借入金額の1~2%)も支払わなければなりません。
抵当権を設定する場合、登記費用として登録免許税(借入金額の0.4%)および司法書士への報酬も発生します。
② 測量費用
土地を購入する場合、測量作業によって隣地との境界をしっかり決めなければなりません。土地の境界線が不明確なままだと、のちに隣地所有者との間で境界トラブルが起こる可能性があるからです。
測量費用は売主が負担するケースがよく見受けられますが、条件次第では買主が負担するケースもあります。そのため、測量作業を行う必要があるかどうか、費用がいくらかかるかなど、先に不動産会社へ確認しておくことが大切です。
測量費用は土地の面積・形、隣地や前面道路の状況によって変動しますが、一般的に30~60万円程度かかってきます。
③ 農地転用にかかる費用
登記簿の地目が「畑」や「田」の場合、法律上では“農地”という扱いになります。そのままだと住宅を建てることができないため、まずは農地転用の手続きを行って、地目を「宅地」に変更しなければなりません。農地転用にかかる費用は、一般的に10~20万円程度です。
土地が市街化区域にある場合、簡素な手続きで地目を変更できるようになります。一方、市街化調整区域にある場合、地目の変更ができないケースも考えられるので、あらかじめ注意しましょう。
3.いくら用意するべき?土地購入にかかる諸費用をシミュレーション
ここまでの内容を踏まえつつ、土地購入にかかる諸費用をシミュレーションしました。
<土地の購入代金が2,000万円の場合>
※固定資産税評価額=土地の購入代金 とする
※手付金200万円を頭金にして、1,800万円の住宅ローンを組むと仮定
<試算結果>
- 仲介手数料「土地代金×3%+6万円+消費税」:66万円+消費税
- 手付金「10%」:200万円
- 印紙税:1万円
- 不動産取得税「固定資産税評価額-1200万円×3%」:24万円
- 登記費用「固定資産税評価額×1.5%」:30万円
- 固定資産税「固定資産税評価額×1.4%」:28万円
- 都市計画税「固定資産税評価額×0.3%」:6万円
- 住宅ローン手数料や保証料など:約50万円
このシミュレーションでは、合計約400万円の諸費用がかかってきます。手付金を除くと諸費用は約200万円になるため、土地代金の約10%という結果です。
住宅ローンを組まず、購入後にかかる不動産取得税や固定資産税・都市計画税を除けば、諸費用は約100万円なので、土地代金の5~10%程度という一般論とも合致します。
4.土地購入にかかる諸費用を踏まえて安心できる資金計画を立てよう
先述の通り、土地購入の際には土地代金の5~10%程度の諸費用がかかってきます。そのため、資金計画を立てる場合、土地代金や建築費だけではなく、諸費用も考慮しておくことが大切です。
家づくりの予算や収入から、どのくらいの土地を購入できるのか知りたい方は、ぜひ三菱地所ホームにご相談ください。ライフスタイルや家族構成を踏まえて、理想の土地探しをサポートします。