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注文住宅 | 2025.04.18

【二世帯住宅の間取り実例】成功させるポイントや注意点を解説

新築家づくり間取りアイディア二世帯住宅

二世帯住宅を建てる場合、理想の暮らしに合わせて間取りを慎重に検討する必要があります。世帯間におけるライフスタイルや価値観の違いはもちろん、二世帯住宅ならではの性質や間取りの考え方を知っておくことも大切です。

今回の記事では、二世帯住宅のタイプと間取り実例を紹介しつつ、二世帯住宅を成功させるためのポイント、あらかじめ話し合っておきたい注意点について解説します。

1.二世帯住宅のタイプと間取り実例

二世帯住宅のタイプは大きく分けると、以下の3種類があります。

● 部分共有型
● 完全分離型(上下分離型)
● 完全分離型(左右分離型)

各タイプの特徴を間取り実例とともに解説します。

1-1.部分共有型:ローコストで効率的な二世帯住宅

部分共有型とは、玄関・リビング・浴室・トイレなど住まいの一部を共有しつつ、それ以外の部分は世帯ごとに設ける間取りのことです。「一部共用型」などと呼ばれるケースもあります。

共有する部分は住宅によって異なりますが、生活空間を適度に分けることで、お互いのライフスタイルに配慮しやすくなる点が強みです。プライバシーを尊重しつつ、家族のふれあいの場をつくることもできます。

また、ライフスタイルに応じて間取りを変更できるため、柔軟な暮らしを実現しやすいこともメリットです。

1-1-1.部分共有型の間取り図実例

二世帯住宅部分共有型の間取り例

1F ①階段(子世帯) ②玄関(共有) ③リビングダイニング(親世帯) ④和室(共有)

二世帯住宅部分共有型の間取り例2階

2F ⑤リビングダイニング(子世帯) ⑥寝室(子世帯)

1階が親世帯のスペースと共有スペース、2階が子世帯のスペースで構成されている部分共有型の二世帯住宅です。2階へと上がる階段は親世帯のスペースを通過しない位置にあるので、生活リズムの違いを気にせず昇降できます。

1階は玄関のほか、和室が共有スペースになっています。お正月の際に二世帯全員が集まって過ごしたり、客間として使ったりすることが可能です。

1F

2F

ロフト

一方、こちらの部分共有型モデルハウスは、リビングダイニングキッチンが共有スペースになっており、料理や食事を両世帯で一緒に楽しむことができます。その他の水回りは個別に設けているため、お互いに気兼ねなく利用可能です。

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1-2.完全分離型(上下分離型):世帯ごとの平屋のような住まい

完全分離型とは、玄関や水回りも含めて親世帯と子世帯の住まいを完全に独立させる間取りのことです。上下分離型は階層別に上下で住みわけるので、各世帯がワンフロアを占有する形で生活します。

1階と2階以上の階層で世帯ごとに生活空間が分離するため、平屋に近い感覚で過ごせることが特徴です。親世帯は階段を昇降せずに済む1階、子世帯は2階で暮らすなど、バリアフリー対応がしやすいという強みもあります。

住まいが独立しているとはいえ、すぐ行き来できる距離感なので、適度な交流とプライバシー性の高い生活を両立できるでしょう。

1-2-1.完全分離型(上下分離型)の間取り図実例

1F ①納戸(共有) ②廊下(親世帯) ③和室(親世帯) ④玄関ポーチ(共有)

2F ⑤主寝室(子世帯) ⑥寝室(子世帯) ⑦バルコニー(子世帯)

こちらは1階を親世帯、2階を子世帯に割り当てている上下分離型の二世帯住宅です。玄関を個別に設けつつ、納戸を通り抜けて世帯間を行き来できる間取りになっています。

1階は親世帯が移動しやすいよう、寝室からトイレまでの動線を短くしたり、リビングから寝室まで一直線につなげたりしている点が特徴です。

一方、2階は階下への騒音を防ぐため、音が発生しやすいリビングや子ども部屋を1階の寝室から離れた位置に設けています。

1-3.完全分離型(左右分離型):お隣感覚で暮らす二世帯の家

左右分離型も完全分離型の一種ですが、こちらは界壁(かいへき)と呼ばれる壁を設置し、生活空間を左右で分ける間取りのことです。お互いを尊重しつつ、隣人同士のような感覚で暮らすことができます。

横方向に生活空間を増やす性質上、上下分離型より騒音や採光に関する問題が起こりにくいことが強みです。また、敷地内に独立した2つの建物を建てるように設計するので、プライバシーをしっかり保ちながら生活できます。

一方、二世帯住宅において最も広い敷地が必要になるため、建築費も高くつきやすい点には要注意です。

1-3-1.完全分離型(左右分離型)の間取り図実例

完全分離型(左右分離型)の間取り図実例

1F ①トイレ(親世帯) ②収納(親世帯) ③玄関(子世帯) ④玄関(親世帯)

完全分離型(左右分離型)の間取り図実例

2F ⑤子供部屋(子世帯) ⑥寝室(親世帯) ⑦洗面室(子世帯) ⑧バルコニー(共有)

こちらは1階・2階ともに中央の壁で生活空間がはっきりと区切られている、左右分離型の二世帯住宅です。

親世帯はトイレを広くしたり、将来的にはエレベーターを設置できる収納スペースを設けたりするなど、老後の暮らしや介護のことも考えて設計しています。子世帯も子どもの成長に合わせて部屋を分割できる可変式にするなど、将来的なライフスタイルを想定しているため、長く快適に暮らせる住まいです。

玄関も場所を分けることで、お互いのライフスタイルに干渉されることはありません。しかし、バルコニーはあえて共同にすることで、両世帯が気兼ねなく触れ合える場所を設けています。

こちらの実例も二世帯住宅も左右分離型ですが、廊下と中庭を経由して、お互いの住まいに往来できるようになっています。

二世帯住宅(左右分離型)の建築実例

2.二世帯での暮らしを成功させるための間取りのポイント

二世帯住宅を成功させるためには、以下のポイントが重要です。

● 「ふれあい」と「住みわけ」のバランスを考える
● 生活リズムの違いをカバーできる工夫をする
● 将来の介護やいざというときに対応できるようにする

それぞれ詳細もまとめました。

2-1.「ふれあい」と「住みわけ」のバランスを考える

お互いが快適に暮らせる二世帯住宅を建てたいなら、まずは共有スペースとプライベートスペースのバランスを見極める必要があります。

もし共有スペースが少ないと、家族の「ふれあい」が減ってしまうので、家事や育児のサポートを受けにくくなったり、介護の負担が増えたりするかもしれません。逆にプライベートスペースが少なければ、自分の時間を確保しにくくなり、ストレスや不満が溜まりがちです。

2-2.生活リズムの違いをカバーできる工夫をする

二世帯住宅では、お互いの生活リズムの違いを把握しておくことも大切です。起床・就寝・食事・入浴などのタイミングは世帯によって異なるので、一方の生活リズムがもう一方に悪影響をもたらさないよう、必要に応じて間取りを工夫しましょう。

例えば、親世帯と子世帯の起床時間が大きく異なる場合、お互いの寝室の距離を離したり、LDKを2つ設けたりすることで、就寝中の相手を起こしてしまう可能性が低くなります。

2-3.将来の介護やいざというときに対応できるようにする

二世帯住宅を建てる場合、親世帯の介護や急病・怪我といったトラブルも想定しておく必要があります。

例えば、親世帯の寝室・LDK・浴室・トイレなどを集中的に配置すれば、移動の負担が減るので、老後の暮らしも楽になるでしょう。また、廊下の幅を広くしたり、手すりやスロープを設けたりすれば、トラブルを予防しつつ、介助・介護する側の負担も軽減できます。

3.後悔しないためにあらかじめ話し合っておきたい注意点

二世帯住宅の家族

二世帯住宅の間取りを考える前に、あらかじめ以下の注意点について話し合っておきましょう。

● 掃除や料理をどのくらい負担するか
● 水光熱費などの費用をどう分担するか
● 育児にどの程度かかわってもらいたいか

こちらも詳細を解説します。

3-1.掃除や料理をどのくらい負担するか

日常生活の役割分担で揉めることは、二世帯住宅でよく起こりがちなトラブルです。特に部分共有型の場合、掃除・料理・洗濯といった家事を「誰が」「どのくらい」負担するかという点を明確化しておかないと、ストレスや不満の原因になります。

また、完全分離型でも玄関ポーチや庭は共有するケースが多いため、お手入れや管理の方法も決めておきましょう。

3-2.水道光熱費などの費用をどう分担するか

二世帯住宅でストレスなく暮らすためには、生活費の分担方法もよく話し合う必要があります。日々の水道光熱費や食費はもちろん、定期的に納める固定資産税や火災保険料、イレギュラーで支払う修繕費なども含めて「誰が」「どう」負担するか明確化したいところです。

年収・世帯人数・職業・ライフスタイルなどを考慮しつつ、お互いに納得できるルールを定めましょう。

3-3.育児にどの程度かかわってもらいたいか

親世帯から育児のサポートを受けやすいことは二世帯住宅のメリットですが、完全分離型だと世帯間を行き来しにくいので、思うように協力を得られない可能性もあります。

あらかじめ子世帯は「育児にどの程度かかわってもらいたいか」を、親世帯は「育児にどの程度かかわりたいか」を話し合ったうえで、共有スペースの広さや位置を調整することが大切です。

4.注文住宅で快適かつおしゃれな二世帯住宅の間取りを実現

二世帯住宅を建てる場合、各世帯のニーズやライフスタイルに応じた暮らしを実現できるようによく検討することが大切です。特に間取りは工事がスタートすると、簡単に変えることはできないので、世帯間でよく話し合って考える必要があります。

注文住宅であれば、快適性とデザイン性に優れた二世帯住宅を建てられます。ぜひ検討してみてください。